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税理士業界の裏事情 国税OB税理士の天下り制度



税理士業界の裏事情


国税OB税理士の天下り制度



  税理士業を税務署等の定年間近に自ら退職して始める国税OBに対し、国税局が顧問先として企業を紹介するという「しくみ」があったのをご存知ですか?全国各地の国税局で行なわれていたのですが、役人の「天下り制度」の中でも最も問題が大きいものの一つであったといわざるを得ません。


1.国税OB税理士の天下り制度


 税理士業を税務署等の定年間近に自ら退職して始める国税OBに対し、国税局が顧問先として企業を紹介するという「しくみ」があったのをご存知ですか?全国各地の国税局で行なわれていたのですが、役人の「天下り制度」の中でも最も問題が大きいものの一つであったといわざるを得ません。

 税理士の平均年齢は60歳超といわれ、弁護士など他のどんな士業よりも高齢となっています。税務職員等には一定期間を税務署等に勤務すると自動的に税理士資格が付与されるという特権があり、これにより、税務署を定年退職あるいは勇退(署長、副署長クラスになると定年前に後進へ道を譲るという慣例がある)した税理士が毎年誕生するからに他なりません。この勇退する署長、副署長(指定特官を含む)には、税務当局が、退官後に税理士として開業する際の顧問先をお世話していました。


2.天下り税理士の実態は


 税理士としての顧問報酬は、最終ポストによって違いはありますが、地方の国税局長や東京国税局の調査四部長などは、億単位であるとも言われています。事実、元札幌国税局長の大物OB税理士が脱税で逮捕される事件が発生しましたが、そのとき脱税していた所得は7億4千万円にものぼっています。5月の高額所得者番付(現在は制度廃止)に出て目立たないようにするために、当初の申告は少なくして、後で修正申告するという裏技まで使っている大物OB税理士もいたようです。

 税理士を余分に受け入れる余裕のある、毎年黒字決算の上場企業などの一部の企業に斡旋先は限られます。何故なら、中小零細企業には、そんな余裕はないからです。紹介される顧問先には、通常の会計税務を担当する税理士が既にいるので、いわゆる「2階建て」(税理士が2人いること)ということになります。

 資本金1億円超の国税局調査部所管の法人などは、申告書、決算書等は自社の経理部で作成してしまうので、申告書に税理士の署名は入っていませんが、2階建てどころの話ではなく、4〜5階建ての高層建築もざらにあります。顧問契約が基本的に2〜3年となっているのは、それ以上居座ると後がつかえてしまうからです。しかし最近は、しがみついてなかなか顧問先を離さない人も少なくないようです。

 税理士としての勤務実態は、月額5万円から多いものだと20万円以上の高額な顧問料を受取りながら、年に1度か2度、顧問先と顔を合わせるだけといったものが少なくありません。顧問料を2年間銀行に振り込んでもらうだけで、会社には一度も顔をだしたことはない、という人が国税OB税理士にはかなりいます。極端な場合だと、顔さえ知らないこともあるようです。決算や税務相談を担当する本当の?顧問税理士のほかに、このような実体のない国税OB税理士を何人も抱えることが、上場企業では当り前になっています。役人を利するだけの極めて不透明なこの制度は、ある種の「税金」だと云えるかもしれません。


3.税理士斡旋による税務調査への影響


 税理士の斡旋を、税務調査という国家権力を背景とする当局から打診された(押付けられた?)場合、普通の納税者の心理として、果たして断れるものでしょうか?真意は別としても「断れば税務調査を通じて圧力が加えられるのでは・・・」と恐れてしまうのが普通です。実際に、当局幹部のご機嫌を損ねたというだけの理由で、不当な税務調査が大規模に実施され、これが国会で質疑にかけられる大問題に発展し、最終的にその責任を取って当時の国税庁長官が辞任に追い込まれるという大失態(飯塚事件)もありました。

 また、自ら積極的に国税OB税理士の斡旋を受け入れている納税者がいるとすれば、彼らはどのようなメリットを期待しているのでしょうか。税務調査の際に手心が加えられ「黒いものでも白くなる」のであれば、それはそれで大問題です。このあたりにも不透明感が漂っていると云わざるを得ません。

 税理士の斡旋について、当局は「定年前に勇退してもらうので、2年間の生活を補償するものだ」と説明していました。元署長や副署長を税理士として雇っておけば税務調査のとき融通が効くのでは、という民間会社の思惑とも合致しているわけです。

 どうも、端からみると税務調査での透明性にも問題があるようです。国税OB税理士から資産税の現役調査官に賄賂が贈られるとういう事件がありました。国税OB税理士と現役調査官の関係は先輩後輩の関係ですから、気の緩みからこういうことが起こったのでしょうか。国税局OBの税理士と現役調査官との癒着問題は、国税局OBの税理士と現役調査官との癒着問題は、後を絶ちません。

 「税理士の斡旋として退官する元署長や副署長を紹介した会社を税務調査する場合であっても、何らの便宜も図られていない」と税務署が釈明しても、第三者的立場からみれば、税務調査の信憑性に疑問が生じてくるのが自然です。優良法人等を代々引き継いでいくのですが、それだけでは足りず、例年4月以降に調査法人に対して国税OB税理士のはめ込みに廻ることになります。このときに国税OB税理士はめ込みの見返りに、何らかの条件(優良法人にするとか、調査税額をまけてやる)を提示しているのでは、と勘ぐられても仕方がないでしょう。


4.税理士斡旋は廃止へ


 税理士を国税局というお上を窓口にして企業に斡旋しなくても、税務職員が長年に渡って培った「専門の知識」に対してのニーズがあれば、納税者側から自然と顧問税理士としてのお呼びがかかるものです。現に、ある商社の国際課税部門では、国際税務担当だった国税局OBを年収数千万円の特別待遇でスカウトしています。これだけの給与を支払ったとしても、数十億円、数百億円の単位で発生する国際課税の問題を回避できるのであれば、充分に費用対効果があると判断しているのでしょう。

 税理士という立場にあたる職業に税務署の元職員がつくことを国によっては法律で禁止している場合すらあるのです。これは、ひとえに透明な税務行政を実現するために他ならず、問題の原因を根っこから排除すべきであるという確固たる考え方に基づいているのです。いわんや、税務当局が元職員の税理士に顧問先を斡旋するなどは論外のはずなのです。

 税理士の斡旋という制度は「ほんとうに公正な税務行政が行なわれているのだろうか」という疑いを持たれても仕方がなく、規制緩和や情報公開という時代の流れに逆行しているのは明らかであり、既得権益を守るためにはなりふり構わぬという当局の姿勢が見え隠れするものでした。

 税理士の斡旋制度は、このように何かと問題が多く、民主党は野党であった時代からこの国税OB税理士の斡旋制度を問題視してきました。民主党がマニフェストに官僚天下りの廃止を打ち出し、そして政権与党となると、国税サイドも斡旋制度廃止の具体化に向けてようやく動き出し、ついに廃止となるに至りました。


5.税理士斡旋の廃止により問題がより深刻化


 税理士斡旋が廃止されて全てが万事解決か、というと、この問題はそれほど単純ではありません。「むしろ当局による税理士斡旋が廃止されたことで、問題の本質がより深刻化するのでは」と事態を危惧する声すらあります。それは、税務職員の私的斡旋が復活してしまうのではないか、という懸念があるためです。

 税理士を開業している国税OBのために、在職中の税務職員が顧問先を紹介する私的斡旋は禁止されています。もちろん、現役職員が自分が税理士になったときに備えて、在職中に顧問契約の約束ができないのは、いうまでもありません。とはいえ、このような税理士の私的斡旋は水面下で行われてきた、というが実態のようです。先輩から後輩へと顧問契約が私的に受け継がれているのです。

 「税理士を探している会社に対して知り合い(国税OB)を紹介した」というだけで、紹介した税務職員には形式的には直接のメリットは何もないようです。では、なぜ、後輩(現役税務職員)による先輩(国税OB税理士)の紹介が問題になるのでしょうか。

 自分が税務署を退官して税理士として開業するときに、この紹介した会社を顧問先として譲り受けることが国税OB税理士との間で予め約束されているので、国税OB税理士の紹介は、実は自分の顧問先を開拓しているのと同じなのです。税理士を開業中の国税OBから、退官して税理士を開業する税務職員へと顧問先が譲り渡されても、「本人の意思で契約した」と主張されればそれまでのことになります。

 税理士の私的斡旋が根絶されなければ、国税局人事課による斡旋制度を廃止した意味がないどころか、実態が水面下に隠れてしまうため、問題はより深刻化してしまうのです。

 税理士斡旋を国税局人事課が一元管理することは、水面下での私的斡旋を通じて税務職員と民間会社とが癒着してしまうことを回避するための「必要悪」であったといえるかもしれません。税務職員も人の子ですから、生活していくためには背に腹はかえられません。将来の顧問契約獲得の活動がエスカレートして「顧問契約獲得の見返りに税務調査に手心を加える」という流れになってしまうのは、ある意味、必然といえるでしょう。このようなことが常態化すればそれこそ大問題です。

 税理士としての顧問先を国税局人事課から斡旋されることが約束されているのであれば、税務職員側としても将来の顧問先獲得の心配をする必要はなくなるので、違法というリスクを冒してまで水面下で私的斡旋をしなければならない理由もありません。また、当局側としても、実態を目の届くところで適切に管理することが可能になり、「顧問契約獲得の見返りに税務調査に手心を加える」という大失態を心配する必要もなくなるので、両者にとって、この顧問先斡旋制度は悪くないものだったのです。

 しかし、この制度はもう機能しなくなりました。決して役人を擁護する立場ではありませんが、役人バッシングだけをしても、問題の根本的な解決は図れません。公正な税務行政を実現させるためには、どうすればよいのかを真剣に考えることが求められています。


 

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・全国紙新聞社の印刷部門に専門メンテナンスサービスを実施
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・ソフト自社開発とともに、技術顧問としてソフト会社をサポート
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 私どもでは「顧問報酬は業界相場を基本」としていますが、このあたりの詳細について「税理士報酬の業界相場は」に私どもの考え方も含めて詳述していますので、ご参照ください。

4.打合場所

  通常は、私どもがそちらに伺ってお話を承ります。これは、適切にアドバイスするには、話の流れに応じて、様々な書類を拝見する必要があるかもしれない、ということと、住居も含めた相談者の環境を把握したうえでアドバイスしたい、というのが主な理由です。

 しかし、もしご希望であれば、私どもの事務所へお越し頂いても、そちらの近くの喫茶店などでの打合せでも結構です。

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